特集

“ととのう”なら、宇陀

“ととのう”なら、宇陀

24.02.16

薬の発祥といわれる地「宇陀市」で伝統野菜や薬草、文化や伝統技術でもてなす、心も体も喜ぶひとときを味わえる宇陀の魅力を紹介します。 No.1 酒蔵カフェ 久保本家酒造はなれ 日本独自の国菌である麹菌。奈良県宇陀市で、この麹菌をはじめ発酵を活かしたランチを提供する酒蔵カフェ久保本家酒造はなれに、発酵とともに暮らす知恵を聞いた。 カフェを営むのは、300年続く酒造りの老舗「久保本家酒造」の女将さん。日々、菌とともに酒造りをし、菌の力を感じているからこそ、発酵を取り入れた食事を提供するカフェを営むようになったとか。 「味噌、醤油、お酢…発酵や菌は、昔から日本人の暮らしのなかにあって、なにも特別なものではない、一番日本人の体に合ったものだと思います」と女将さん。 カフェでもっとも発酵を感じる、数量限定の酒蔵発酵ランチのメニューの一例は、塩麹漬け焼鮭山椒ソース、味噌マヨネーズ味の新じゃがのサラダ、麹納豆、味噌汁、自家製漬物・佃煮、三分づきご飯、デザートに甘酒と豆乳のゼリーと、発酵づくし。セットのドリンクでは、久保本家酒造の日本酒飲み比べも選ぶことができる。 近年、腸内環境の大切さが健康につながると言われているが、まさに腸を整えるランチといえそうだ。発酵を取り入れたメニューが、こんなにバリエーション豊かなことにも驚く。日々の生活のなかでも、発酵をどう取り入れたらよいだろうか。 「一番簡単に生活に取り入れられるのは、味噌汁やお醤油ですよね。これらは自然と食べている方も多いのではないでしょうか。もうひとつレベルアップをするなら、塩麹を使ってみてください。今ではスーパーでも売っているので、手に入れやすいですよ。肉や魚につければ旨味がアップし、お肉は柔らかく、お魚はふわっとした食感になるので驚きます。塩麹は時間がたつほどおいしくなるので、忙しい方にこそおすすめ。朝や数日前でもつけておけば、焼いて食べるだけで簡単におかずができます」   さらに応用するなら、麹にプラスアルファして調味料を作ってもいい。例えば醤油と麹を混ぜると醤油麹に、玉ねぎと混ぜると玉ねぎ麹になり、手軽に料理の味付けに使えて、ドレッシングも作れる。いろいろなものと混ぜて楽しめる、応用の広い食べ物だ。 また、はなれさんでは、発酵の足し算が楽しくなる食事を考えているとか。 「例えば納豆だけでも優れた発酵食品ですが、そこに米麹、酒、醤油、みりんなども加えています。1週間分など多めに作っておいても便利ですよ」 さまざまな調味料があふれているが、日本人に一番良いのは昔から言われる、原点の「さしすせそ」なのだろう。   300年以上伝統の酒造りをしてきたからこその、伝統的な発酵食品や調味料を大切にしているはなれさん。街中に建つカフェは、伝統と新しさを感じさせる外観が目をひく。    「日本人の体に一番合っている発酵食品を、たくさんの人に食べてもらいたいです。カフェが、自然豊かな宇陀という場所で、ゆっくり過ごせる憩いの場所になったら嬉しいですね」

続きを読む