やきもの工房 宝泉窯 housenyo 伝統工芸/陶器 大宇陀
陶器づくりの魅力は、無形の粘土から立体(器)を創り上げていく面白さ、そして暮らしの必需品ともいえる食器や茶器など、人に使ってもらえる喜びを感じられることが一番大きいと語る杉本 遊炫(ゆうげん)さん。古い町屋を利用したやきもの工房も魅力的です。
2006年、重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い街並みが残る町「大宇陀」。
宇陀松山城の城下町、地域経済の中心として栄えた宇陀松山は、宇陀紙や吉野葛といった周辺地域の特産物や薬草、お酒等を販売する、町屋が数多く建てられました。 現在も、老舗の薬屋、酒屋、醤油蔵、和菓子屋などのほか、町屋を活かしたカフェやレストラン等が並ぶ、散策が楽しいエリアとなっています。
そんなノスタルジックな街並みの一角に、山吹色の暖簾が風に揺れ、静かに趣を漂わせているやきもの工房「宝泉窯」があります。
店内は、大宇陀で見かける草花をモチーフに、日本画や京友禅のイメージで描かれた食器、花入、茶器、香器などが展示販売されており、暖かな陽光が差し込む中、古き良き時代の雰囲気と現代の洗練さが調和した空間を感じることができます。
奥に進むと作業場には、黙々と陶器と向き合う陶器家「杉本遊炫(すぎもとゆうげん)」さんの姿が。
遊炫さんは、1967年ハワイに移住し、初めて陶芸を体験したことがきっかけで、高校(美術工芸コース陶芸科)を卒業後は京都府立陶工専修職業訓練校専攻科へ進み技術を磨き、全国職業訓練校展にて労働大臣賞を受賞。陶芸家として活動後も数々の賞を受賞されました。 「陶器づくりの魅力は、無形の粘土から立体(器)を創り上げていく面白さ、そして暮らしの必需品ともいえる食器や茶器など、人に使ってもらえる喜びを感じられることが一番大きい」と語る遊炫さんの目が優しく輝きます。
杉本遊炫さんの手によって、様々な手法で丹精込めて作られた素地に、オリジナル技法の下絵が施された唯一無二の器。
その美しさと独創性は、一目見て心を捉え、手に取らずにはいられません。ひとつひとつ丁寧に手づくりされたこの器は、ただ美しいだけでなく、その独自の表情や質感が、日常の喧騒から逃れ、心に静かな安らぎをもたらしてくれることでしょう。ぜひその魅力に触れ、あなたの手で感じてみてください。